展覧会のお知らせ
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「M e m / o / r a n / d u m」出版に併せ、1日だけの展覧会をします。
4月に完成した作品集「M e m / o / r a n / d u m」シリーズと、新しい作品の発表です。
場所は学芸大学の「準備中」第3の場として4月にオープンしたばかりの「五木」です。
本になった「M e m / o / r a n / d u m」シリーズを眺めているうちに
仕上がるまで見えなかったもうひとつの形に気がつくようになり
私はそれも自分に定着させたいと思うようになりました。
新作は本作りに取り組む中で見えた形と、本が完成してから新たに見えてきた形を取り出して再構成しました。
1日限りの展覧会となりますがお時間許せばお越しいただけましたら幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
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日時/2025年5月31日(土) 11時−19時(在廊予定です。)
場所/「五木」 目黒区鷹番3-4-24(東急東横線学芸大学駅から徒歩2分、
「準備中」裏。)
https://www.instagram.com/junbicyu_ituki/(五木インスタグラム)
https://www.junbicyu.com(準備中ウェブサイト)
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「M e m / o / r a n / d u m」(メモランダム)のシリーズは
今から50年以上も前に母が記したノートを、私が祖父の遺品整理中に
偶然見つけたことから始まった制作プロジェクトです。
長い間、本棚にしまわれたままだったそのノートには、
ピアノ教師になりたての母が、恩師からのさまざまな口伝えを走り書いた覚書がありました。
「けんばんは自分の指です」
「暗譜していて音がわからなくなった時 すぐ楽譜を見たりして楽譜に頼るのでは
なくできるだけ自分の力で考えて思い出すようにすること。
そうすると新たな発見をしたりするし、鮮明になって頭によく入る」
「ただ感じで演奏するのはしろうと。専門家であればその裏付け
なぜそうしなければならなかったかわかっていなければならない」
「指の良い状態を得る為の練習方法」
専門的なことが簡素に書かれた覚書は理にかなった内容で、
音楽に携わらない私にとっても、何かを生み出す上で本質的なことのように思われ
ノートに目が釘付けになりました。
そして、私なりの関わり方で母の覚書と交わって、メロディやハーモニー、
リズムに変わる造形を作り、その言葉と奏であってみたいと思うようになりました。
ノートの中の母の筆跡は、少し背中を押せばひとりでに動き出せそうに
前に進んでいく力が感じられ、私はその筆跡のままフレーズを拾い出して
さまざまな生き物と組み合わせて絵を描きました。
そしてその絵からさらにイメージを広げ、切ったり貼ったり足したり引いたりしながら、生まれた造形を音が流れていくように点から線につなぎました。
時を超えて4冊が互いに響き合いながら、ひとつの組曲のようになれるよう作り進めた昔の母と今の私の協働制作です。
濱愛子